高電圧パルスパワー技術を用いて急峻に立ち上がるパルス高電圧を発生させることにより、大気中で非熱平衡プラズマの生成が高効率で可能となります。非熱平衡プラズマ中では電気エネルギーによって、ヒドロキシラジカルなどといった化学的活性種を高密度で生成可能で、複雑な化学反応を引き起こします。これらの化学的活性種は高い酸化力を有し、菌の不活化や有機化合物の分解を可能とします。本研究では、この特性を用いて農産物の生産環境や貯蔵における鮮度保持などといった農林水産・食品分野への応用技術を開発します。具体的には、ナノ秒オーダーで様相が変化するパルス放電プラズマを観測しその電気的特性を評価することによって、パルスパワー電源と整合し最適化し、種々の応用に適応可能な高効率パルスパワー電源を開発します。そして、プラズマによって生成された化学的活性種の液体などといった対象への供給機構を明らかにします。そして、難分解性化合物の分解や殺菌などによる植物生育環境を改善することによる植物生産性の向上や、収穫後の青果物の鮮度保持による商品価値低下や食品ロスといった問題解決、食品加工における新たな付加価値の付与などに寄与する技術を開発します。そして、進的な農産物生産環境の制御技術として確立するとともに、国際共同研究を通して、発展途上国や農業大国などにおける多様な環境での応用性評価を行い、利用拡大を図ります。