高橋 有紀
- 所属大学
- 福島大学
- 部局
- 人文社会学群 行政政策学類
- 職名
- 准教授
- 関連領域
- 人間・社会
専門分野
更生保護制度、刑事政策、犯罪学、刑事法学
研究キーワード
刑事政策
刑事法
更生保護
所属学会
日本犯罪社会学会
日本更生保護学会
日本司法福祉学会
日本刑法学会
比較法学会
研究室URL
研究テーマ
「最良の社会政策」を実現する「地域の刑事政策」の展開及び持続可能性
研究概要
「最良の刑事政策とは最良の社会政策のことである。」という19世紀の刑法学者・リストの言葉は今日も刑事法・刑事政策学で頻繁に引用されます。社会が良くなれば犯罪が減ることには誰しも同意するでしょうが、どうしたら社会は良くなるのでしょう。私の研究は、罪を犯した人の立ち直りを支える法制度を通して、社会を良くする「最良の社会政策」を構想するものです。
2000年代以降、世界各国で法や政策が厳罰化しています。しかし、厳罰化は必ずしも犯罪を減らしません。また、人は皆違うので、医学や心理学に基づく一律の方法で行動や思考を矯正するにも限界があります。さらに、そもそも「最良の社会政策」が実現されていない社会の側にも様々な課題があります。
これらの解決には、犯罪者処遇に関する精神医学や心理学のエビデンスの蓄積や、罪を犯した人への福祉的施策はもちろん不可欠です。しかし、それ以上に大切なのは、罪を犯した人を含む、多様な困難を抱えた人々が自分らしく生きられる社会像を、中央集権のトップダウンではなく、地域単位で構想することです。そこでは、定量的に計測可能な指標の改善や発展のみを追求してきた社会を反省し、各自の葛藤と回復に寄り添い、個人と地域の関係を編み直すことの価値を認識する必要があります。こうした新しい価値観は、格差や分断、メンタルヘルス、災害、環境破壊といった複雑な世界的課題の解決の糸口となるはずです。
罪を犯した人の立ち直りという刑事政策の課題を通して、多様な人が自分らしく生きられる「最良の社会政策」を実現する方策を、人文社会科学と自然科学の垣根を超えて構想することが私の目標です。
2000年代以降、世界各国で法や政策が厳罰化しています。しかし、厳罰化は必ずしも犯罪を減らしません。また、人は皆違うので、医学や心理学に基づく一律の方法で行動や思考を矯正するにも限界があります。さらに、そもそも「最良の社会政策」が実現されていない社会の側にも様々な課題があります。
これらの解決には、犯罪者処遇に関する精神医学や心理学のエビデンスの蓄積や、罪を犯した人への福祉的施策はもちろん不可欠です。しかし、それ以上に大切なのは、罪を犯した人を含む、多様な困難を抱えた人々が自分らしく生きられる社会像を、中央集権のトップダウンではなく、地域単位で構想することです。そこでは、定量的に計測可能な指標の改善や発展のみを追求してきた社会を反省し、各自の葛藤と回復に寄り添い、個人と地域の関係を編み直すことの価値を認識する必要があります。こうした新しい価値観は、格差や分断、メンタルヘルス、災害、環境破壊といった複雑な世界的課題の解決の糸口となるはずです。
罪を犯した人の立ち直りという刑事政策の課題を通して、多様な人が自分らしく生きられる「最良の社会政策」を実現する方策を、人文社会科学と自然科学の垣根を超えて構想することが私の目標です。