山根 結太

所属大学
東北大学
部局
学際科学フロンティア研究所
職名
助教
関連領域
デバイス・テクノロジー

専門分野

物性理論、磁性

研究キーワード

物性理論
磁性
スピントロニクス

所属学会

日本物理学会
応用物理学会

研究室URL

http://yutaymn.com

研究テーマ

量子相対論に基づく新規インダクタ原理の異論研究及びその実証

研究概要

1831年、イギリスの物理学者ファラデーは、コイル(ねじれた導線)の近くで棒磁石を動かすと、コイルに電流が流れることを発見しました。これは今日、電磁誘導の法則として知られています。電磁誘導の法則は、発電やモーター、インダクタ素子の基礎原理として現代文明を支える重要な現象です。物理的には、動いている磁石の運動エネルギーが、電磁気的な相互作用を介して起電力に変換される、と理解することができます。
そして2009年、スピン起電力と呼ばれる、全く新しい起電力の観測が報告されました。スピン起電力では、磁石を動かしません。「動く」のは、磁石の内部に存在するナノ磁気構造です。この時、磁石の持つ磁気的エネルギーが、量子力学と呼ばれるミクロな世界を支配する物理法則に基づいて、起電力に変換されます。興味深いことに、量子力学の観点から見ると、スピン起電力と電磁誘導の法則はどちらも、ベリー位相という共通の物理機構から生じることがわかっています。
スピン起電力は新しい現象であると同時に、非常に基礎的かつ磁性体に普遍的な現象です。スピン起電力へのより深い理解に到達し、ナノテクノロジーにおけるその可能性を追求していくことが、私の研究の大きな目標です。そして今、スピン起電力を量子相対論効果であるスピン軌道相互作用と結びつけることで、「新規インダクタ原理」の開拓に挑戦しています。