July 7, 2025
もみ殻と鉱山副産物から高耐久性燃料電池触媒を開発(TI-FRISシニアフェロー・中安祐太助教、芳賀一寿准教授、TI-FRISフェロー・阿部博弥准教授)
世界で年間約1億トン以上が発生するもみ殻は、分解されにくく用途が限られるため、多くが焼却処分されてきました。一方、銅鉱石である「チャルコパイライト(黄銅鉱:CuFeS2)」の副産物であるパイライトも活用が進んでおらず、環境負荷が問題となっています。
東北大学学際科学フロンティア研究所の中安祐太助教(TI-FRISシニアフェロー)と阿部博弥准教授(TI-FRISフェロー)、秋田大学大学院国際資源学研究科の芳賀一寿准教授(TI-FRISシニアフェロー)らの研究グループは、こうした未利用資源に着目し、もみ殻とパイライトを原料とした燃料電池用触媒の開発に成功しました。この触媒は、特に白金が劣化しやすい酸性環境でも高い安定性を示し、従来は高価な白金にしかできなかった電池内の酸素反応を担うことが期待されます。さらに、電極材料化の際に導電性向上のため除去されてきたもみ殻由来の非晶質シリカが、鉄との相互作用により触媒の耐久性を高める可能性が示されました。本研究は、廃棄物の価値を見直すと同時に、希少金属の低減や低コスト化に貢献する、新たな電池材料技術として注目されます。

図:本研究の概要図。
本成果は2025年7月1日、電力に関する分野の専門誌Journal of Power Sourcesに掲載されました。
論文情報:
タイトル:Highly Active and Stable Fe-N4 Catalyst from Unused Natural Resources for Oxygen Reduction Reaction in Acidic to Alkaline Medium
著者:Edwin Osebe Nyangau, Hiroya Abe, Kazutoshi Haga, Chie Ooka, Kenji Hayashida, Naoka Nagamura, Kotaro Takeyasu, Masaru Watanabe, Yuta Nakayasu*
掲載誌:Journal of Power Sources
DOI: 10.1016/j.jpowsour.2025.237784
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378775325016209