May 30, 2023
DNAナノポアの高効率膜挿入手法の開発(TI-FRISフェロー・馬渕拓哉助教)
TI-FRISフェロー・馬渕拓哉助教(東北大学流体科学研究所・学際科学フロンティア研究所)らの研究チームは、DNAナノポア(注1) を効率的に人工細胞膜(注2) に挿入し、DNAナノポアを通過するイオン電流を計測する手法を開発しました。
本手法では、DNAナノポアが修飾された金ニードル電極(DNAナノポアプローブ)を用意し、本DNAナノポアプローブ上に人工細胞膜を形成します。その結果、DNAナノポアを物理的に人工細胞膜に挿入することが可能となり、従来研究に比べDNAナノポアの膜挿入効率を大幅に向上させることに成功しました。本手法の開発により、ナノポアセンサや分子ロボット・分子機械へのDNAナノポアの応用展開が促進されることが期待されます。

図:開発したDNAナノポアの人工細胞膜挿入技術の概略図。DNAナノポアを修飾した金ニードル電極上に人工細胞膜を形成することで、DNAナノポアが物理的に人工細胞膜に挿入される。
注1)DNAナノポア
DNAによって構築されたナノメートルスケール(1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の1で、1マイクロメートルの千分の1)の細孔。人工細胞膜に挿入されることで、溶液中のイオンが細孔内を通過する。
注2)人工細胞膜
両親媒性を有するリン脂質分子の自己組織化により形成される膜。
本研究成果は、米国化学会が発行する ACS Nano (電子版 5 月 24 日付)に掲載されました。
論文情報:
タイトル:DNA Nanopore-Tethered Gold Needle Electrodes for Channel Current Recording
著者:Shogo Ikarashi, Hiromu Akai, Hiroki Koiwa, Jun Takahashi, Takuya Mabuchi, and Kan Shoji
掲載誌:ACS Nano
DOI: 10.1021/acsnano.3c01565
プレスリリース:
東北大学