January 24, 2023

汗の成分を検出するファイバを織り込んだ肌着用生地を開発 ─ 健康状態をさりげなくモニタリングすることが可能に ─(TI-FRISフェロー・郭媛元助教)

日常生活に必要不可欠な衣服は、身体の汗などの多様な生体因子と緊密に触れ合っていることから、多様なセンシング機能を衣服に集積する技術を活用することで、私たちの日常での健康状況を、本人に意識させることなく、また周囲に知られることなく、さりげなくモニタリングすることが可能になります。
 
TI-FRISフェロー・郭媛元助教(東北大学学際科学フロンティア研究所)らの研究チームは、汗の中に含まれる重要な生体健康因子であるナトリウム、尿酸などを高感度かつ選択的に検出・モニタリングできる多機能ファイバ・テキスタイルの開発に世界で初めて成功しました。「金太郎飴」の作製方法と似た熱延伸プロセスにより、ファイバの持つ繊細かつ柔軟な品質を維持しつつ、ファイバ中に電気化学センシングや液体注入の機能を組み合わせることで、多機能ファイバを衣服の中に織り込み、汗の多様な成分を同時にモニタリングする機能を実現しました。
 
今後この技術を発展させることで、私たちの心身健康状態をさりげなくモニタリングできる技術の革新につながるものと期待されます。
 
 
本研究成果は、学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーのバイオセンサ分野専門誌『Analytical and Bioanalytical Chemistry』に2023年1月9日付で掲載されました。
 
 
図:多機能ファイバ・テキスタイルの開発と汗モニタリングへの応用。多機能ファイバの側面に特定のイオンや化学分子をセンシング可能な感応膜を修飾することにより、汗成分をモニタリングすることができた。
 
 
Jingxuan Wu, Yuichi Sato, Yuanyuan Guo* (*corresponding author)
Analytical and Bioanalytical Chemistry
"Microelectronic fibers for multiplexed sweat sensing"
DOI: 10.1007/s00216-022-04510-9
https://doi.org/10.1007/s00216-022-04510-9
 
プレスリリース:
東北大学
東北大学学際科学フロンティア研究所