田副 博文

所属大学
弘前大学
部局
被ばく医療総合研究所
職名
准教授
関連領域
生命・環境

専門分野

放射化学

研究キーワード

放射性核種
化学分離
自動前処理装置

所属学会

日本分析化学会
日本海洋学会
日本地球化学会
日本地球惑星科学連合
American Geophysical Union

研究テーマ

環境試料及び生体試料中の放射性核種分析手法の高度化

研究概要

 原子力関連施設における作業者の安全管理や周辺地域への影響を評価するため、生体試料や環境試料中の放射性核種分析法の開発は重要な課題です。しかし、東京電力福島第一原子力発電所や日本原子力研究開発機構での事故事例が示すように、最新の研究動向が現場へと浸透していない状況にあります。本研究ではキレート樹脂固相抽出やICP質量分析などの技術開発・社会実装の両面で進めます。さらに自動分析装置の開発による分析技術の高度化に加え、分析法の国際規格の確立を目指します。
 本研究ではキレート樹脂固相抽出法を代表とする試料前処理法、質量分析法の適用の検討により新たな放射性核種分析法を確立します。分析対象として、経口被ばくの評価として重要となる河川水や水道水などの水試料、体内に取り込んだ際の取り込み量の推定のために爪・毛髪・尿試料などの生体試料を取り扱います。水中の放射性ストロンチウムに対しては選択性の高い固相抽出剤が市販されており、イオン交換樹脂による前濃縮と合わせてICP質量分析の分析前処理法として検討を実施します。イギリス国立物理学研究所の共同研究者と共に検討を進め、開発した分析法は国際標準化機構にて新規国際標準規格として提案します。生体試料分析では内部被ばく線量評価に重要となるアクチニド元素を中心として、前処理法および放射線計測・質量分析法の確立を行います。また、固相抽出法による化学分離法は、自動化前処理装置に応用し、自動分析技術の開発に展開します。煩雑かつ危険な試薬を扱う作業を自動化することにより、分析技術者のスキルによらず分析結果の信頼性を担保できるシステム構築を目指します。